【NJPW WORLD】永田裕志・秋山準vs武藤敬司・馳浩

2021年5月20記

 

NJPW WORLD,永田裕志・,秋山準,武藤敬司,馳浩

 

新日本プロレスワールドで見る、おすすめ名勝負、2001年10月8日新日本プロレス東京ドーム大会「INDICATE OF NEXTNEXESS」。メインイベントで行われた「永田裕志&秋山準vs武藤敬司&馳浩」の一戦です。

 

 

【試合に至るまでの背景】

2001年10月8日に実現したこのタッグマッチ。

 

永田選手と武藤選手は新日本プロレス所属。
馳浩選手は全日本プロレス所属。
秋山準選手はプロレスリング・ノア所属。

 

当時のメジャー3団体が集結した夢のオールスター戦・夢のタッグマッチとなったこの4者のマッチアップ。

 

当時のプロレス界を取り巻く環境は、暗黒期直前。

 

この当時は、総合格闘技の「PRIDE」が興行的に成功の連続。

 

2000年にホイス・グレイシーをTKOで下し、一気にスターへ駆け上がった桜庭和志。
アントニオ猪木さんが総合プロデューサーに就任。
スタイリッシュなイメージでフジテレビにてゴールデンタイムで中継

 

と、総合格闘技界に押されまくっていた時期。
東京ドームはもちろん、西武ドームにも進出するなど押せ押せムード。トドメとばかりに大晦日で年越し興行が始まり、

 

PRIDE:フジテレビ
K-1:TBS

 

と、民法で大晦日格闘技戦争なんて時期もありました。

 

 

一方の新日本プロレスはというと、猪木さんが小川直也選手と共に、格闘技路線思考へシフトチェンジ的な流れに。
その流れに愛想をつかし「プロレスがしたいんだ」と、2003年に武藤敬司・小島聡・ケンドー・カシンが新日本を離脱し、「純プロ」全日本プロレスへまさかの電撃移籍。

 

新日本プロレスがどんどん闇に突っ込んでいく前夜とも言うべきなのが、2001年でした。

 

そんな猪木さんの格闘技路線とは真逆のマッチメイクとなった、この4人のタッグマッチ。
ちなみにこの日のセミファイナルで行われたのが

 

佐々木健介
vs
小川直也

 

という、格闘技路線のマッチメイク。
否が応でも比較されたメインイベントとセミファイナル。

 

 

そんなメインイベント。
ポイントとなったのは、やはりプロレスリング・ノア、秋山準選手(現サイバーファイト所属)。

 

新日本プロレスとノアの絡みは、まだまだ禁断とされていました。
三沢光晴さんが全日本プロレスから離脱し新団体としてのノアでしたが、世間の目としては

 

 

アントニオ猪木=新日本プロレス
vs
ジャイアント馬場=プロレスリング・ノア

 

という視点。

 

 

前年の2000年に全日本プロレスに残留した川田利明選手・渕正信選手が参戦した経緯があるとはいえ、当時の全日本に所属として残ったのが前述の二人だけ。ほとんどはノアに未来を求めて移籍。

 

その流れがあるだけに、このタッグマッチは、新日本とノアの力比べ的な雰囲気もありました。
きっと猪木さんはこのタッグマッチに、あまりいい思いはなかったはず。だからセミファイナルに小川直也を配したのかな?とも勘ぐれます。

 

が、観客動員が下降気味だった新日本プロレスとしては、秋山準選手のノアとしてのバックグラウンド・ネームバリューに頼りたかったのでは?と想像出来ます。

 

この秋山選手参戦の伏線には、この年の3月ありましたよね。
2001年3月に新日本プロレスを退団した故橋本真也さんが興した新団体「ZERO-ONE」。

 

この時のメインイベントは、今でも語り草の

 

橋本真也&永田裕志
vs
三沢光晴&秋山準

 

 

新日本プロレスvsプロレスリング・ノアの構図が、皮肉にも「他団体」で行われた事実は重かった。

 

この時の戦いで共鳴したのが、永田選手と秋山選手。
秋山選手がリングサイドで永田選手の試合を観戦。それが「格プロ」としてベストな内容を残した

 

2001年6月6日:日本武道館
IWGPヘビー級選手権試合
<王者>藤田和之
vs
<挑戦者>永田裕志

 

藤田和之は新日本プロレスでデビューしましたが、2000年1月に退団し、総合格闘技へ戦いの場を求めます。
猪木さんの後押しもあり、PRIDEに参戦し。1月30日の「PRIDEグランプリ1回戦」でいきなりハンス・ナイマンに一本勝ちで鮮烈デビュー。

 

同年5月1日に2回戦でマーク・ケアーにも判定勝ちを収めます。トーナメントの優勝こそ逃しましたが、「元新日本プロレス」がPRIDEで通用したことについては、当時格闘技路線へ思考の舵をきっていた猪木さんにとっても、自信を深めたのでは?

 

 

そんな、バリバリの格闘家へと変貌した藤田選手は同年4月、新日本プロレス・大阪ドーム大会でIWGPヘビー級選手権試合へ。
時の王者・スコット・ノートン相手に完勝。まさかまさか一気のベルト取りに成功。

 

そんな経緯で迎えたのが、日本武道館大会のvs永田戦。セコンドには秋山準。

 

両者にとって、絶対に負けられない試合。

 

試合内容はプロレスと格闘技を足して割ったような感覚。新しいスタイルというか、当時は「プロ格」だなんて言う人もいました。

 

この試合は、結果的に藤田選手が相手をボコボコにして完勝に近い内容。
専修大学にてレスリングの素養があった秋山選手の目には「プロ格」なプロレスは、どんな風に映っていたのか、今でも聞いてみたいなと。

 

 

ボコボコにされた永田選手ですが、秋山選手からは労いの言葉。プロレスラーとしての信頼関係がこの負けによって強固になっていったのでしょう。

 

そして経緯があり、迎えることになる2001年10月8日東京ドーム大会「INDICATE OF NEXT」。
その大会名、「次を示すこと」の意。

 

格闘技に押されまくっていたプロレス界。

 

永田裕志
秋山準
武藤敬司
馳浩

 

武藤敬司と馳浩がクラシカルでオーソドックスなプロレスを魅せれば、
永田裕志と秋山準が次代を示すのプロレスを魅せる。

 

4人が極上のプロレスで格闘技界と真っ向から立ち向かう、そんな試合がこのタッグマッチの側面の一つなのです。

 

NJPW WORLDで観てみる

【試合展開:見どころは武藤敬司と秋山準の初遭遇】

「BATT」の武藤敬司に馳浩が先にコールを受ける。
新世代・永田裕志と秋山準が後コール。

 

と、この試合の解説が蝶野正洋というのも興味深いところ。

 

 

先発は、秋山準と武藤敬司。まさに夢の顔合わせ。

 

武藤がリングを周り、ロープにもたれかかるいつものムーブで自身のリズムを図ると共に、相手を自分の世界に引きずり込んでいく。

 

腕の取り合い・グラウンドで東京ドームの観客を魅了する。

 

一転、動きが激しくなり、ドロップキックで制した武藤が秋山へLOVEポーズで挑発。さすがの天才ぶり。

 

 

武藤から馳に交代。馳と秋山は専修大学レスリング部の先輩後輩の間柄。これまた興味深い絡み。

 

 

5分経過。

 

ここで時のG1クライマックス覇者・永田がリングイン。
永田と武藤のマッチアップ。グラウンドで五分にお互い渡り合う。

 

 

武藤が馳と交代し、永田馳、久々の新日本道場師弟対決。
テクニックの応酬が面白い!

 

 

秋山と馳の手四つからの力比べ。馳が制しつつ、秋山がブリッジで対応。キレイなブリッジで素晴らしい!

 

 

中盤、武藤の目の前で秋山がドラゴンスクリュー!この辺りのクレバーさが秋山準らしさ。

 

馳と永田の張り手合戦に場内の温度が上がります!

 

 

代わった武藤、まだまだねちっこいグラウンドで、6万人の視線を集めます。

 

 

馳、フロントスープレックスからお待ちかねのジャイアントスイング!

 

「東京ドーム!!」とシャウトしてスタート!回ること21回!グッジョブ!!
馳の試合は、ジャイアントスイングを観ないとスッキリしませんね!!

 

 

永田のフロントネックロック!
秋山のナガタロックU!

 

お互いの技の競演!!

 

 

エプロンで断崖式エクスプロイダーを狙う秋山!
が、それを阻止した武藤は断崖式ドラゴンスクリュー!!最初で最後の断崖式ドラスク!!

 

その武藤、エプロンから膝への低空ドロップキックで膝を攻め立てる!武藤の膝攻めの始まり!!

 

再度のドラゴンスクリューから、秋山の足を絡めとり足四の字固め!馳も永田へ足四の字固め!
リング中央でこれはキツイ!

 

 

20分経過。

 

四の字固めをやっとの思いでロープで回避した秋山。

 

と、足を引きずる秋山をトップロープに乗せた武藤、雪崩式フランケンシュタイナー!
カウント2で返したその刹那、武藤がムーンサルトプレス発射!!これもカウント3ギリギリで返す!
素晴らしい一連の展開!

 

 

トドメとばかりにシャイニング・ウィザード!
が、両腕クロスでブロックした秋山がついにエクスプロイダー!後頭部をしたたかに打った武藤!

 

 

永田と馳。
キックのやりあいでバチバチ!

 

馳の起き上がりこぼしのジャーマンスープレックス4回目でホールド!が、カウント2で返す永田!

 

馳の腕決めバックブリーカー!
(内藤哲也のグロリアに似た形で抱え込んでのバックブリーカー)

 

 

そして師弟張りての応酬!勝ったのは師匠である馳!
リングへ走りラリアットを狙ったところを捕まえた永田がフロントスープレックス投げっぱなし!!
ドーム沸騰!

 

そして、「ゼァァ!」の敬礼ポーズからナガタロック!!

 

カットに入った武藤を永田がニールキックで排除!

 

 

永田、雄たけびからミドルキック連打!延髄斬り!
をかわして四つん這いになった馳の背中を踏み台にした武藤のシャイニング・ウィザードが永田に炸裂!

 

と、その武藤に向けて秋山が掟破りのシャイニング・ウィザード〜〜!

 

その秋山に馳が裏投げ〜〜!!

 

4人全員ダメージで仰向け状態
(凄い、ここ)

 

 

終盤。
気合いを入れ直す馳。この時間帯でまだまだ元気な馳浩。

 

永田へノーザンライトスープレックス・ホールド!3カウントを迫るが2カウント!

 

と、返した永田がナガタロックUで馳を捕獲!!
それをカットした武藤を秋山が小橋建太も落としたフロントネックロックで捕らえる!!

 

ナガタロックUで締め上げるが、何とかロープに逃げた馳。

 

 

その馳へ、永田と秋山のコンビネーション。
コーナーへもたれかかる馳へ、秋山がランニングジャンピングニー!続けざまにエクスプロイダー!

 

そして、最後にトドメに永田のバックドロップホールド!

 

が、カウント1で返す馳!
(ここ、凄い)

 

が、もう一度、バックドロップホールド!

 

カウント3!!

 

 

新世代が東京ドームで勝利!

 

NJPW WORLDで観てみる

【試合結果】

メインイベント

60分1本勝負

 

○永田裕志&秋山準
(28分4秒、バックドロップ・ホールド)
武藤敬司&●馳浩

 

バックドロップ・ホールドで永田裕志のピンフォール勝ち


この日の全試合結果はこちらから

TOPへ